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<1.深成岩>
約1300万年前に,当時はユーラシアプレートだった北海道西部に,北米プレートの北海道東部が衝突することによって日高山脈が激しく上昇しました。それとともに,北米プレートの地下約70kmにあったマントルの岩石である「かんらん岩」が地表に現れました。
白亜紀に西南日本で珪長質の激しいマグマ活動があり,大陸地殻を大きく成長させました。そのとき花崗岩が貫入しました。
竜宮城から戻った浦島太郎がこの地で玉手箱を開けたという伝説から,この岩棚は「寝覚の床」と呼ばれています。
花崗岩に貫入した,ほとんど有色鉱物を含まないアプライトという火成岩の岩脈です。手前にあった花崗岩は浸食・風化されてしまい,岩脈が残りました。格子状の節理が鎧のように見えることから,「鎧岩」と呼ばれています。国指定天然記念物。
約1400万年前に西南日本で大規模な火山活動があり,ここでは巨大な長石の斑晶を含む花崗岩が貫入しました。第四紀になって急激に隆起し,宮之浦岳は九州最高峰(1936m)になりました。島全体が花崗岩でできています。
渓谷から高さ約1000mそそり立つ,世界で最も大きい花崗岩の一枚岩です。約1億年前に地下深部でゆっくり冷却した花崗岩がその後隆起し,第四紀になって氷河の浸食作用によってハーフドーム状になりました。世界自然遺産。
<2.火成岩>
白亜紀に玄武岩が堆積物中に貫入し,枕状溶岩と同様に,海水で外側は急冷されながら内部はチューブ状に流れ出て球形の放射状節理が多数形成されました。最大径8mに及び,「車石」と呼ばれています。国指定天然記念物。
1719年または1732年に,岩手山の山腹から流出した安山岩の溶岩流です。表面が粗く刺々しく凹凸に富む「アア溶岩」としても有名です。300年近く経ちますが,未だに噴火当時のままの状態を残しています。国の特別天然記念物。
浅間山の大噴火(1783年)の最後に,山頂から北側に流出した安山岩の溶岩流で,角張っていて表面が平な塊状溶岩です。最近では,普通の溶岩ではなく,火口周辺に堆積した火山灰が熱で溶けて流れ出たものという説が有力です。
約4800万年前に海底火山から噴出し,海水で外側は急冷されながら内部はチューブ状に流れ出て積み重なった枕状溶岩の断面です。Mgに富み斜長石を含まないという世界的にも珍しい組成の安山岩(ボニナイト)からなります。
平安時代の864年に,富士山の北西山腹から大量の玄武岩質の溶岩が流れ出ました。その際,外側は冷えて固まりますが,内側はまだ熱くて流れやすいため下流に流れてしまうことによって,筒のような空洞が形成されました。国指定天然記念物。
約1,300万年前に,安山岩質のマグマが堆積岩中に貫入してゆっくり冷えたため,柱の直径が大きく最大4m以上にも及びます。海岸沿いに約2kmにわたって露出しており,北陸有数の観光地になっています。国指定天然記念物。
約1400万年前に紀伊半島で大規模な火山活動があり,ここでは泥岩中に流紋岩の岩脈が貫入しました。泥岩は浸食され,浸食に強い岩脈が,海岸から一列に約850mにわたって杭状に残っています。国指定天然記念物。
約160万年前に噴出した玄武岩が冷却される過程で形成されました。「玄武岩」は「玄武洞」に由来します。1929年には,ここの玄武岩が現在とは逆向きの磁性を示すことから,地磁気が逆転することが世界で初めて示されました。国指定天然記念物。
約1400万年前に西南日本で生じた大規模火山活動によって,ここでは,細粒で硬く,叩くと金属音がするサヌカイトという特殊な安山岩が噴出しました。上位のサヌカイトが浸食に強いので,下位層が浸食されて急崖になりました。国指定天然記念物。
約600万年前に噴出した安山岩質の大規模なマグマがゆっくり冷えて形成されました。柱の直径が大きく「畳石」と呼ばれています。その数は約1000個に及びますが,現在の波食棚でもあり,干潮時のみ観察できます。国指定天然記念物。
約2億年前にマグマが堆積岩に貫入して冷却する際に形成されました。その後周りの堆積岩は浸食されてしまいましたが,火成岩は固かったのでタワー状に残りました。映画「未知との遭遇」のラストシーンで使われ,有名になりました。
約6000万年前にユーラシア大陸と北米大陸が分離する激しい火山活動があり,その際に噴出した玄武岩質溶岩が冷却して約4万もの石柱が形成されました。「巨人が積み上げた道」という伝説がある世界で最も有名な柱状節理で,世界自然遺産。
アフリカ大地溝帯にあり,地球上で唯一カーボナタイト(火成炭酸塩岩)のマグマを噴出する活火山です。カーボナタイトは,通常のマグマ(900〜1200℃)とは異なり,温度が500〜600℃と低いため,溶けた状態でも真っ黒で,粘性が非常に低いマグマです。
<3.火山地形>
1944〜1945年に,麦畑だった場所で隆起・噴火し,粘性が高いデイサイト質マグマの上昇によって形成されました。その際,麦畑の土壌が溶岩の熱で焼かれたため,山肌が赤茶色に見えます。世界的にも珍しく私有地にあります。国の特別天然記念物。
標高1898mの形の綺麗な成層火山で,「蝦夷富士」とも呼ばれています。約6-5万年前から活動を開始し,安山岩〜デイサイト質の軽石・火山灰・溶岩流・火砕流を繰り返し噴出しました。最新の噴火は約1000年前と推定されています。
伊豆諸島の最南端に位置する絶海の孤島の活火山で,海中に玄武岩質の大きな火山体があり,その外輪山のマグマの通り道(火道)内で安山岩質のマグマが硬く固結し,その後周りの火山体が波で浸食されて,ロウソク状に残りました(高さ99m)。
小笠原諸島にある火山島で,2013年以降の噴火によって大量の溶岩が噴出し,元々あった面積の約10倍の大きさになり,現在も成長中です。水深約4000mの深海底から成長してきた火山なので,実は富士山よりも大きな火山です。
約65万年前から安山岩質マグマを主体とする大量の溶岩や火山灰を噴出し,約23〜13万年前と約8〜4万年前には大規模噴火によってカルデラが形成されました。その後爆発的噴火は終了し,カルデラ内には溶岩ドームなどの単成火山が形成されました。
伊豆半島東部には,1回の噴火のみで形成された小さい火山(単成火山)が多く見られます。大室山は,約5000年前に主に暗色で多孔質な火山灰(スコリア)を噴出し積み重なった,単成火山の火砕丘(スコリア丘)です。
約1400万年前に,紀伊半島で巨大カルデラを作った大規模な火山活動がありました。そのカルデラの痕跡が,ここでは,浸食に強い流紋岩質凝灰岩が高さ約150m・幅約800mの日本最大級の一枚岩として残っています.国指定天然記念物。
約1400万年前に西南日本で大規模な火山活動があり,ここでは安山岩質マグマの噴火によって,直径約8kmのカルデラが形成されました。カルデラの淵が後に隆起して,西日本最高峰(1982m)になりました。
1990〜1995年の噴火で形成された溶岩ドームで,「平成新山」と呼ばれています。噴火中の1991年6月3日には,溶岩ドームが崩壊して大火砕流が発生し,報道・消防関係者を中心に43名もの死者が出ました。国指定天然記念物。
標高924mと小さく二段式の成層火山で,「薩摩富士」とも呼ばれています。約4400年前から活動を開始し,主に玄武岩質の溶岩を繰り返し噴出しましたが,平安時代に山頂付近に安山岩質の溶岩ドームが形成され,二段式になりました。
粘性の低い玄武岩質溶岩の流出によってできた,非常に傾斜の緩い火山です。標高は4169mあり,水深約5000mの深海底から成長してきた火山なので,比高は9000m以上と実はエベレストよりも高く,比高と体積で世界一の山です。
標高2463mと富士山より小ぶりですが,山頂からの噴火が多く山腹からの噴火が少ないために,形の非常に綺麗な成層火山です。日系人からは「ルソン富士」と呼ばれています。過去400年間で約50回も噴火している活動的な火山です。
標高2518mと富士山より一回り小さい,安山岩を主体とする成層火山です。外国の山で富士山に最も似ている火山の一つで,「ニュージーランド富士」とも呼ばれており,映画「ラストサムライ」のロケにも使われました。
<4.堆積岩>
1888年に発見された日本最大級の石炭層で,古第三紀(約5000万年前)に繁栄したメタセコイアなどの裸子植物が石炭化したものです。良質で,製鉄・燃料用として日本の近代化に重要な役割を担いました。一部がそのまま保存されています。
約1400-1300万年前に海底火山から噴出した軽石質凝灰岩の石材です。軽くて軟らかく耐火性・吸湿性があることから,古くから土蔵・石塀などに使われてきました。旧採掘場の一部が見学できるようになっており,ロケなどにも使われています。
銚子付近には関東平野では地下深部にある古い地層が地表に露出しています。犬吠埼には白亜紀前期(約1.2億年前)の浅海で堆積した砂岩〜砂岩泥岩互層が見られ,斜交層理など波の作用を示す堆積構造がよく観察できます。国指定天然記念物。
第四紀の中期更新世(77万〜12.6万年前)の下限付近の地層を,世界で最も詳細かつ連続的に観察・研究できるのが養老川沿いであることなどから,2020年1月に中期更新世を「チバニアン」と呼ぶことが決定しました。国指定天然記念物。
約900万年前に深海で堆積した堆積岩です。主に青灰色の泥岩で,下部・上部に白色と黒色の凝灰岩があることによって,傾斜が分かります。また左側では凝灰岩がずれていることから,正断層があることもわかります。
約200万年前に巨大地震などによって海底地すべりが発生し,半固結の砂岩・泥岩の層が,水深約1500〜2000mの深海底に乱雑に堆積した堆積岩です。2007年に道路工事で新しく見つかった地層で,そのまま保存されています。
大島火山起源の火山灰が積み重なった地層です。約1万4000年前以降100枚以上もの火山灰が確認されており,大島火山の噴火史の解読に非常に有用です。通称「バームクーヘン」として観光名所にもなっています。
約600万年前に深海で堆積した堆積岩が,海溝に沈み込む時に陸側に付加し,その時の圧縮力によって急傾斜になりました。その後に隆起・陸化して浸食されました。その上に箱根起源の火山灰(約6.5万年前)などが水平に堆積しました。
伊豆半島が現在よりも南にあった約400〜300万年前に,デイサイト〜流紋岩質の海底火山の噴火に伴って生じた水中火砕流または海底土石流によって火山灰・軽石が堆積した,凝灰角礫岩(下部)〜凝灰岩(上部)です。
中生代三畳紀〜ジュラ紀に珪質プランクトンの遺骸が堆積して形成されました。ジュラ紀に海溝に沈み込む時に陸側に付加し,その時の圧縮力によって複雑な傾斜になりました。チャートは硬いので,しばしば急峻な地形を作ります。
数千万年前に赤道付近で誕生したプレートが北上し,海溝に近づくと,陸起源のタービダイト(混濁流堆積物)の砂岩と泥岩の互層が堆積しました。新第三紀初頭に海溝に沈み込む時に陸側に付加し,その時の圧縮力によって垂直になりました。
鹿児島湾北部にあった火山が約2.9万年前に巨大噴火し,カルデラを形成し水没しました。噴出した火砕流堆積物は南九州一帯に最大100mの厚さで堆積し,シラス台地を形成しました。水はけが良いので,サツマイモ・大根・茶などが名産です。
中生代/新生代境界(約6600万年前)では,巨大隕石の衝突によって恐竜やアンモナイトなどが絶滅しました。この海食崖には中生代/新生代境界付近の地層が露出しており,崖中央の黒色粘土層に隕石衝突の証拠となった元素が含まれています。世界自然遺産。
イギリス南岸には高さ100m・幅150kmに渡って真っ白な海食崖が広がっています。中生代白亜紀末に深海で石灰質プランクトンの遺骸が堆積した真っ白なチョーク(白亜)からなり,「白亜紀」の名称の由来となりました。
<5.化石>
中生代白亜紀(約1.2億年前)の地層が地殻変動によってほぼ垂直になっており,道路沿いの崖には,砂の表面に水の流れが作った模様である多くの「漣痕(れんこん)」と,それを横切るように約50個もの「恐竜の足跡」の化石(左下から中央上にかけての色の濃い部分と左上の2つの穴など)が確認されています。
約12-13万年前の温暖な時期に,関東平野一円に広がっていた古東京湾と呼ばれる広大な内湾に生息していた貝の化石密集層です。100種以上もの暖流系・内湾棲の貝化石・ウニ化石が見つかっています。国指定天然記念物。
この付近の約6000年前(縄文時代)の地層からは,温暖で浅く澄んだ海を示す造礁サンゴ化石が多産します。当時は大規模なサンゴ礁が発達するほど温暖で,水温が現在の紀伊半島〜奄美大島海域に相当していたと推定されています。
約4000万年前に堆積した礫岩で,ヌンムリテス(貨幣石)の化石が多産します。ヌンムリテスは,石灰質の大型有孔虫で,古第三紀の代表的な示準化石として知られています。一方,暖かい海で多産するので示相化石にもなります。
約27億年前に光合成を開始したシアノバクテリアと泥が層状に積み重なったドーム状の岩石をストロマトライトと言います。現生では,この湾のように塩分濃度が高く他の生物が生息できない数カ所にのみ残っています。世界自然遺産。
<6.その他岩石>
蛇紋岩はマントルの岩石である「かんらん岩」が変質したもので,早池峰山は古生代オルドビス紀の硬い蛇紋岩からなるため,北上山地の中でも高さが突出しています。かんらん岩・蛇紋岩の山は木が育ちにくいので,高山植物の固有種が多く見られます。
中生代ジュラ紀に深海で堆積した地層が,白亜紀にプレートの沈み込みに伴って地下で変成した,低温高圧型の三波川変成帯(九州〜関東)の東端に相当し,荒川沿いに様々な結晶片岩が岩畳となって一面に見られます。国指定天然記念物。
堆積岩が接触変成作用を受けてできた緻密な変成岩をホルンフェルスと言います。ここでは,約1500万年前に堆積した砂岩(灰白)と泥岩(黒)の互層が,約1400万年前に貫入したはんれい岩の熱による弱い接触変成作用を受けて形成されました。
<7.河川地形>
男体山は約2.5万年前から活動を開始し,約1.2万年前の噴火では大量の溶岩が流れ出て,川を堰き止めました。その結果,上流側には堰止め湖である中禅寺湖が形成され,その出口には落差97mもの「華厳の滝」ができました。
約20万年前に赤城山の噴出物が川を堰き止めて湖ができ,湖を埋めてできた平坦面を,川が切り開いて湖の地層を数回に渡って段階的に掘り下げて形成されました。大規模で形もはっきりしているため,日本一美しいとも評されています。
断層で破砕されて脆くなった凝灰岩を,桂川が下方浸食して,川幅が狭く高さ30mある深い谷が形成されました。ここでは橋脚を立てられないので,両岸から四層のはね木をせり出して猿橋が作られました。日本三大奇橋の一つ。
富士山南西麓の富士川支流に懸かる滝で,富士山の地下水が,下部の水を通さない泥流堆積物(約2万年前)と上部の溶岩(約1.2万年前)との境界付近から絹糸のように流れ出ています。国指定天然記念物・世界文化遺産。
約500万年前に貫入した石英閃緑ひん岩(石英を含む閃緑岩の半深成岩)が冷却する時に柱状節理が形成され,その貫入岩体を信濃川の支流である清津川が激しく下方浸食して形成されました。日本三大峡谷の一つで国指定天然記念物。
第四紀になって北アルプスが急激に隆起したことにより,黒部川の浸食力が急増し,新第三紀の花崗岩を世界最大級の激しさで下方浸食して形成されました。現在でも人を寄せ付けない断崖絶壁が広がっています。日本三大峡谷の一つで国の特別天然記念物。
第四紀になって北アルプスが急激に隆起したことにより,黒部川の浸食力が急増し大量の土砂を下流に運搬しました。扇状地がそのまま海に面していて三角州でもあるので「扇状地三角州」と呼ばれ,山から海までの距離が短い場合に形成されます。
約1400万年前に紀伊半島で大規模な火山活動があり,ここでは流紋岩質溶岩の流出と花崗岩の貫入があり,浸食に強いこれらと浸食されやすい堆積岩との境界に形成されました。一段の滝としては日本一の133mの落差があります。世界文化遺産。
世界三大瀑布の一つで,最も有名な滝です。馬蹄形で落差は54mあります。約4500年前に現在より約10km下流で誕生し,滝が古生代シルル紀の石灰岩・泥岩を徐々に浸食して,現在の位置まで後退してきました。
約7000万年前に隆起した高原をコロラド川が下刻して形成されました。全長約450km・高さ平均約1200mに及ぶ断崖には,最下部に先カンブリア代の変成岩・火成岩・堆積岩,下部〜上部に古生代の水平な堆積岩が露出しています。世界自然遺産。
ギアナ高地にある最大のテーブルマウンテンから流れ落ちる,世界最大の落差(979m)がある滝です。あまりにも落差が大きいため,落下する水は途中で分散して霧状になってしまうので,滝壺がありません。世界自然遺産。
南北160km・東西240kmに広がる世界最大級の三角州です。ナイル川は毎年おおいぬ座のシリウスが見えるようになる時期に氾濫したため,古代エジプトではそれを元に暦を作りました。氾濫によって肥沃な土壌となり,農業・文明が発達しました。
<8.海岸地形>
高さ約100mの海食崖で,奇妙な形をした巨岩が2km以上に渡って連なっています。大規模な海底火山活動があった約1400万年前の白緑色凝灰角礫岩(グリーンタフ)が,長い年月をかけて浸食されて形成されました。国指定天然記念物。
三陸海岸の南側は隆起速度よりも海面上昇の速度の方が大きいため,結果として沈水地形であるリアス式海岸になっています。深い入り江は天然の良港になりますが,津波の水が集まり高さが増大しやすいという難点もあります。
犬吠埼が白亜紀の硬い地層のため海側に突出しているのに対し,そのすぐ裏側の下総台地は第四紀の柔らかい地層のため,数km/1000年に及ぶ速さで浸食されて形成されました。高さ50m・幅10kmに渡る海食崖は「東洋のドーバー」と称されています。
元々は500m沖合にある島でしたが,大正関東地震(1923年)で約1.5m隆起して浅瀬になったことに加え,陸側を旧海軍が埋め立て飛行場を建設したため,潮流が変化して砂が堆積するようになり,陸繋島となりました。
この付近は元禄関東地震(1703年)・大正関東地震(1923年)によって,それぞれ約4m・約1.5m隆起し,波食棚(*KN-02江の島を参照)が海面上に現れました。これらの平坦面は「元禄面」(右側の高い面)と「大正面」(中央の低い面)と呼ばれています。
都市化が進んだ東京にも海食崖の痕跡が残っています。ここでは海食崖上に愛宕神社があり,崖下の鳥居とは垂直と見紛うような急な石段で上り下りします。過去に3人が馬で登ることに成功しており,別名「出世の階段」と呼ばれています。
都市化が進んだ東京にも海食崖の痕跡が残っています.ここでは海食崖上に愛宕神社があり,崖下の鳥居とは垂直と見紛うような86段の急な石段で上り下りします。過去に3人が馬で登ることに成功しており,別名「出世の階段」と呼ばれています。
波の浸食によってできた海食洞で,「馬の背洞門」と呼ばれています。昔は小舟で中を通り抜けることができましたが,関東大震災(1923年)を起こした大正関東地震によって,この付近は約1.4m隆起したため,通れなくなりました。
岩石海岸の波打ち際には,岩石が波で削られた平坦面(波食棚)が形成されます。この付近は関東大震災(1923年)を起こした大正関東地震によって約1.2m隆起し,波食棚が海面上に現れました。そのため,この平坦面は「大正面」と呼ばれています。
波で削られた急崖を海食崖と言い,その下部に見られる洞窟を「海食洞」と言います。波による浸食が断層や節理等の弱線に沿って進行して形成されます。江の島南岸に見られる海食洞は「岩屋洞窟」として観光名所になっています。
約1億年前に西日本で大規模な火山活動があり,花崗岩が大量に形成され,その後隆起して中国山地になりました。花崗岩は風化されて河川によって海に運搬され,砂が2つの海流の間に堆積し,砂州が形成されました。日本三景の一つ。
中国山地は約1億年前の花崗岩からできています.花崗岩は風化されて砂となり,千代川によって海に運搬されました。砂のうち風化に強い石英などが,日本海の荒波と強風によって海岸に打ち上げられ,砂丘を形成しました。
島に修道院がある世界文化遺産で。世界で最も有名な陸繋島です。干満差が15m以上と大きく危険だったので,1877年に地続きの道路を作りましたが,潮流が変化し陸地化が進行しました。元に姿に戻すために道路は壊され,2014年に橋が完成しました。
<9.その他地形>
氷河が前穂高岳(3090m)の山腹をえぐるようにして削って形成された,北アルプス最大の圏谷(カール)です。奥の赤い屋根の山小屋が建つ小丘は,氷河が削り取った岩屑が運ばれて集積したモレーンで,かつての氷河の先端位置を示しています。
秋吉台を構成する石灰岩は,古生代石炭紀〜ペルム紀(3.5億〜2.5億年前)に,熱帯地方の海山上に成長したサンゴ礁が,プレートの沈み込みによって剥ぎ取られた巨大な岩塊です。この時代の示準化石であるフズリナを多産します。国の特別天然記念物。
吉野川によって約130万年前に作られた砂礫層が,風雨により侵食されてできた侵食地形です。高さ10m前後の土柱が,南北約90m・東西約50mの範囲に多数並び,カーテンのひだのように連なっています。国指定天然記念物。
青島の周囲には,約 700万年前のタービダイト(混濁流堆積物)の砂岩と泥岩の互層からなる波食棚が広がっています。砂岩より泥岩の方が浸食されやすいので,洗濯板のような凹凸地形が形成されました。国指定天然記念物。
約5万年前に直径約30〜50mの隕石の落下によって形成された,直径約1.2km・深さ約200mの隕石孔です。周辺からは約30トンもの隕石の破片が見つかっています。世界で初めて認定された,世界で最も有名な隕石孔です。
ギアナ高地にある,ほぼ垂直に切り立ったテーブルマウンテン(標高2810m)です。先カンブリア代の砂岩・珪岩のうち,浸食に強い部分が残って形成されました。コナン・ドイルの小説「失われた世界」で有名になりました。世界自然遺産。
中国南部は石灰岩地帯で,ここでは古生代デボン紀〜石炭紀の石灰岩が,亜熱帯多雨気候の影響で溶食されて,高さ数百mの塔状のカルスト地形(タワーカルスト)が林立するようになりました。古くから山水画などの題材とされてきた世界自然遺産。
中国南部は石灰岩地帯で,ここでは古生代ペルム紀の石灰岩が,亜熱帯多雨気候の影響で溶食されて,高さ約30mの槍状のカルスト地形(タワーカルスト)が林立するようになりました。中国では「天下第一の奇観」と称されています。世界自然遺産。
長さ約60kmある世界最大級のフィヨルドで,断崖と海の造形美から「ノルウェーの真珠」と称されています。氷期に氷河によって削られた断崖の高さは,海面下から最大で1000m以上にも及びます。世界自然遺産。
約20億年前に直径約12kmの隕石の落下によって形成された,直径約190kmの世界最大の隕石孔の痕跡です。衝突によって金を含む地層が地下に押し込まれた結果,その後の浸食を免れて残ったため,この範囲から世界の約4割の金が産出します。世界自然遺産。
<10.断層・褶曲>
新潟〜静岡まで南北約250kmに及び,地質学的に東北日本と西南日本を分ける大断層です。断層は左傾斜で,その西側の古第三紀の地層が,その東側の新第三紀の地層に乗り上がっている逆断層です。国指定天然記念物。
西南日本を日本海側と太平洋側を二分する大断層です.約1億年前から左横ずれ断層として活動していましたが,約300万年前から右横ずれ断層に変わりました。左側の褐色の領家帯と右側の緑灰色の三波川帯が断層で接しています。国指定天然記念物。
北伊豆地震(1930年)で動いた左横ずれ断層です。人家の庭にあった水路と円状の敷石が約2mずれてしまっており,断層公園として保存されています。平安時代にも動いて伊豆地震を起こしており,唯一有史以来2回動いた活断層です。
日本列島がまだ大陸から分離していなかった約5000万年前に,深海で堆積したタービダイト(混濁流堆積物)の砂岩と泥岩の互層が,海溝に沈み込む時に陸側に付加し,その時の圧縮力によって芸術作品のような褶曲が形成されました。
日本列島がまだ大陸から分離していなかった約5000万年前に,深海で堆積したタービダイト(混濁流堆積物)の砂岩と泥岩の互層が,海溝に沈み込む時に陸側に付加し,その時の圧縮力によって芸術作品のような褶曲が形成されました。
太平洋プレートと北米プレートの境界をなす全長約1300kmにも及ぶ右横ずれの活断層です。数10〜100年ごとにM7〜8クラスの地震が発生しており,1906年のサンフランシスコ地震(M7.8)では,死者が約3000人に達しました。
<11.災害遺構>
東日本大震災(2011年)では,この付近に8〜13mの大津波が押し寄せ,二階建て校舎の二階天窓付近まで浸水しましたが,児童・教職員・住民など90人は屋上に避難していたので助かりました。2020年から震災遺構として一般公開されています。
1888年に磐梯山が噴火した時に,約5km離れたこの集落は,爆風の直撃をうけた後に土石流で埋没し,10名もの死者が出ました。この巨石は土石流とともに運ばれてきた安山岩で,重さのため年々沈下しています。国指定天然記念物。
1983年に三宅島雄山が噴火し,南西山腹から玄武岩質の溶岩が流れ出ました。溶岩流は西岸の阿古地区に達し,阿古小学校などが埋没してしまいました。2007年に遊歩道が整備され,噴火の脅威を間近で見ることができるようになっています。
1995年に兵庫県南部地震(M7.3)が発生し,近畿圏の広域に大きな被害が出ました(阪神・淡路大震災)。特に震源に近い神戸の被害は甚大で,波止場も大きな被害を受けました。岸壁の一部が被災当時のまま保存されています。
1792年に雲仙眉山が山体崩壊を起こし,有明海に流入し津波が発生しました。俗に「島原大変肥後迷惑」と呼ばれ,死者は約 15,000人と日本有史以来最大の火山被害です。その山体崩壊の破片が島原沖に九十九島として残っています。
1914年の大正噴火では,大量の火山灰が噴出し,東麓の黒神神社では約2m降り積もり,鳥居が埋没してしまいました。この噴火の最後には,大量の溶岩が流出し,それまで島だった桜島が大隅半島と陸続きになりました。
八重山地震(1771年)あるいはそれ以前の地震で発生した巨大津波によって,海岸から約50m・標高12.5mの陸上まで打ち上げられた石灰岩の巨石です。「帯石」として信仰の対象となっており,世界で最も重い津波石とされています。